Californienne

地球上で最も古い果実のひとつと言われる葡萄。
ゆえに人類との付き合いも非常に長く、食料としてはもちろん、交易品や供物として文明の中で重要な役割を担ってきました。

原産地はコーカサス地方と考えられ、古代エジプトやメソポタミアで栽培が行われていたことがわかっています。
古代ギリシャやローマの時代、葡萄栽培に適した地中海沿岸地域を植民地としていたフェニキア人やアルメニア人によって、葡萄はヨーロッパ各地に根付いていきました。

そしてどこの文化圏でも、ワインは神聖なものとして宗教的儀式に用いられることが多くありました。
特にキリスト教では「キリストの血」の象徴として、ワインが信仰に欠かせない存在だったことは、大航海時代、宣教師とともに葡萄造りが大西洋を渡り、新世界にもたらされるのに十分な動機でした。
メキシコを征服したスペインが北進し、次々と宗教拠点を築いたことが、カリフォルニアでの葡萄造りの原点と言われています。

Californienneには、カリフォルニアレーズンをカリフォルニアワインにじっくりと漬け込んで使用しています。

カリフォルニア固有の葡萄品種”ジンファンデル”は、なんといっていも果実感溢れるボリューミーな味わいが特徴です。
これがまさにカリフォルニアの太陽を象徴しているようで、レーズンの漬け込みには申し分のないワインです。

はじけるような赤いベリーのアロマの中に、わずかに黒胡椒のニュアンスが感じられる味わいが、併せて使用する胡桃の香ばしさに寄り添い、さらなるブラッシュアップのヒントになりました。

古代ペルシャが原産とされる胡桃は、実は葡萄とよく似た境遇を辿り、カリフォルニアに定着しました。

人類が口にした最古の木の実といわれ、胡桃もまた、キリスト教の神父によってカリフォルニアに持ち込まれました。

十分な日照とほどよい寒暖差、そして豊かな水源というカリフォルニアの快適な生育環境に加え、たゆまぬ技術革新を経て高い生産性を獲得したカリフォルニアの胡桃は、そのおいしさと栄養価の高さから、今や世界の需要の2/3を満たす一大ブランドとして君臨しています。

Californienneには、カリフォルニアの胡桃の粗挽きパウダーを使用しています。
ふわっとした香ばしさと心地よい食感が味の要です。

もともとCalifornienneに香辛料を加えることは考えていませんでした。
このお菓子はカリフォルニアの葡萄と胡桃のはじける風味をストレートに伝えるものとして構想していたためです。

しかし形にしてみると、焼き込むことで葡萄の持ち味である強い甘みが目立ちすぎるというアンバランスに悩まされました。
この濃厚な甘みを引き締め、かつフルーティーな爽やかさを補うには…と考えたとき、黒胡椒とピンクペッパーを思いつきました。

辛みも香りもほとんど感じない程度のまさに”隠し味”ですが、彼らのおかげですっきりとしたまとまりを感じられます。

ワインがお好きな方は、ぜひ赤ワインと合わせてゆっくりとお召し上がりください。

そのまま甘いおつまみとして、またはクラッカー代わりにブルーチーズなどを少しつけても、さらに複雑な深みのある味わいが楽しめます。

ティータイムに楽しむなら、シンプルなあたたかいストレートティーがおすすめです。
フレーバーや甘みのついていない紅茶の方が、素材の味を邪魔せずに引き立て合うことができます。

そのときの気分に合わせてお試しください。