インドのスパイシーなマサラチャイを表現しました。
インドから取り寄せたオリジナルブレンドのスパイスと、チャイに適したアッサムティーで、本格的な味わい。
インドには、17世紀から第二次世界大戦後までの長きにわたり、イギリスの植民地支配を受けてきた歴史があり、イギリスの帝国化に大きく貢献することとなりました。
インド紅茶の歴史
紅茶の生産に関しても、イギリス本国の需要に応えるため、19世紀以降、イギリス主導で始められました。
それまで、インドには茶樹が自生していることすら知られていませんでした。
中国から高価なお茶を輸入し続けることに限界を感じ、自国の植民地でのお茶の生産を切望するイギリスは、中国産の茶樹をインドで栽培しようとするも、気候が合わずうまくいきませんでした。
そんな中、インド北東部のアッサムで初めて自生の茶樹が発見されると、プランテーションによる本格的なお茶の生産が始まりました。
その後、他の地域でも茶樹の栽培に適した土地が見つかり、ダージリンやニルギリ等、その地名を冠した紅茶が作られるようになり、味わいのバリエーションも広がりました。
そんな中でも、アッサムは依然として世界最大の産出量を誇る、インド紅茶の一大産地となっています。
マサラチャイの成り立ち
自国の植民地での紅茶の大量生産に成功したことを受け、イギリスでは紅茶自体が入手しやすくなりました。
さらには、アフタヌーンティーの文化が生まれ、浸透していったことからも伺えるように、イギリス社会における紅茶の消費量は、増大の一途をたどりました。
そのため、インドで作られた大量の良質な茶葉はすっかり本国に運ばれ、生産地に残されたのは、製造過程でできる、売り物にならないほどの細かい茶葉(ダストティー)でした。
埃のように細かいダストと呼ばれる最低等級の茶葉は、抽出時に苦みや渋みが強く出てしまい、そのままではとても飲めたものではありませんでした。
そんなダストティーをなんとかおいしく飲もうと、大量の砂糖や身近にあったスパイス、さらにミルクを加えて工夫したものが「マサラチャイ」です。
「マサラ」はスパイス、「チャイ」はもともと単純に「お茶」を指す言葉ですが、インド式に甘く煮出したミルクティーの意味でも使われます。
スパイスと茶葉
Indienneに使用しているスパイスとアッサムティーは、すべてインドから取り寄せています。
マサラチャイに使用するスパイスに厳密な決まりはないため、Biscuiterie èreではジンジャーとシナモンをベースに、理想とする香りを目指しブレンドしています。
コクのある力強い味わいのアッサムティーは、ミルクとの相性が良いことで知られていますが、さらにCTC製法によって作られたアッサムティーは、おいしいマサラチャイを作るのに最も理にかなった茶葉であると考えられます。
CTC製法
伝統的なオーソドックス製法では、茶葉を切り刻むことはせず、最終的にできた茶葉の大きさによって等級分けされた製品ができあがります。
この製法においては、マサラチャイが誕生する元となった「ダストティー」が必然的に生じます。
対してCTC製法では、Crush(潰す)→Tear(引き裂く)→Curl(丸める)という特徴的な一連の工程を機械で行い、大きさの揃った細かい茶葉を大量生産することが可能です。
何ともイギリスらしいこの方法によれば、より濃厚な紅茶を短時間で効率よく抽出できる均質な茶葉を得られるため、おもにティーバッグ用やブレンド用の茶葉の生産に利用されます。
ペアリングのすすめ
インドでは、飲み物というよりはお菓子を食べる感覚で、甘いチャイを少量ティータイムに嗜むそうです。
Indienneに取り組むにあたり、そのようなイメージも考慮しました。
お好みの紅茶と共に、インド紅茶の多様性に目を向けるのも一興ですし、シンプルにホットミルクを合わせれば、相乗効果でよりリアルなマサラチャイを体感できます。
あるいは、お気に入りのブレンドのマサラチャイを淹れ、違いを比べてみるのもチャイマニアな楽しみ方です。
苦境の中でもお茶を楽しむことを諦めないインドの人々の精神を、スパイシーな香りにのせて、お届けできますように。
出典
紅茶の大事典(成美堂出版) 日本紅茶協会 編
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