ピスタチオの原産地とされる、中央アジアはイラン産のピスタチオにフォーカスしたお菓子です。
フェンネルシードがほんのり香る生地で、大粒のフレッシュピスタチオを一粒まるごと包み、焼き上げました。
ピスタチオの歴史
古代オリエント文明の新石器時代初頭の遺跡からは、ドングリや他の野生の種実などと共にピスタチオも出土し、紀元前6500年ごろから食べられていたと考えられています。
紀元前2000年~紀元前1000年頃になると、古代トルコやペルシャ(現在のイラン)などの地中海沿岸地方や中央アジアにおいて、それまで砂漠に自生していたピスタチオを食用として栽培するようになりました。
その後、種子がローマに持ち込まれるとまずは南ヨーロッパ諸国に広がり、18世紀にはイギリスへ、20世紀にアメリカのカリフォルニアへと伝わっていきました。
ピスタチオの現在
2000年頃まで、ピスタチオの最大生産国はイラン、次いでアメリカ、トルコと続いていました。
当時イランとアメリカの間で生産量の差はあまり開きがなく、ピスタチオの生産と輸出における世界の二大国となっていて、この2つの国だけでピスタチオの世界年間生産量の70~80%を占めていたほどです。
一方トルコに関しては、決して少なくない生産量ながら、消費量にあっては世界一を誇り、生産したピスタチオのほとんどを国内で消費してしまうため、国外市場にトルコ産ピスタチオが出回ることはあまりありません。
そして国連食糧農業機関(FAO)の統計によると、2020年の生産量上位国は、1位アメリカ、次いでトルコ、イランとなっており、主産地の入れ替わりが確認できます。
この動向に伴って発生した、日本における近年の「ピスタチオブーム」には目を見張るものがあります。
2000年ごろまでの日本におけるピスタチオの輸入状況は、イラン産がシェアの半分を占めていましたが、2020年以降、比較的安価なアメリカ産にシェアがシフトしたため、以前とは比べものにならないほど、より身近なところにピスタチオ製品が出回るようになったと考えられます。
しかし、相対的にイラン産ピスタチオの価値が上がっているとも捉えられます。
イランにおけるピスタチオの栽培は数千年前からと遡る一方、アメリカのピスタチオ栽培は1930年代からと比較的最近始められました。
他国産に比べて風味がよいと評価されていたイランのピスタチオがそのままアメリカに持ち込まれましたが、気候や風土の違いに適応していく中で味も変化し、次第に同一のものではなくなっていきました。
イランのピスタチオには、約100種類ほど品種があると言われています。
今季のIranienneには、「ファンドギ(Fandoghi)」という品種のピスタチオを使用しています。
殻付生ピスタチオへの
こだわり
長い歴史のあるイラン産ピスタチオのポテンシャルを最大限に引き出したお菓子を作るため、Biscuiterie èreでは、 ”殻付のままのフレッシュピスタチオ” にこだわり仕入れています。
殻には、可食部の風味を守り酸化を防ぐ役割があるため、使用直前まで殻付であることがとても重要です。
また、中心部が色づくほどに火が入ると、せっかくのピスタチオらしい風味が失われてしまい、ただ香ばしいだけの奥行きのない味になってしまいます。
そのため、ローストされていない生の状態から火入れ具合をコントロールする必要があります。
フェンネルシード
Iranienneは、その名の通り、イラン産ピスタチオが主役のお菓子ですが、ここに印象に残るエッセンスとして、フェンネルシードを加えています。
フェンネルシードにとある処理を施し、生地に混ぜ込むと、少し青みのある甘い香りで、ピスタチオの風味が驚くほど引き立ちます。
ペアリングのすすめ
Iranienneは、ピスタチオ本来の甘みが感じられるよう、生地の甘さは控えめに調整しています。
例えば豆乳ラテ系ドリンクと共に、またはお酒のおつまみとして等、幅広いテイストの中から、お好みを見つけてみてください。
市販されているピスタチオ味のドリンクも様々ありますが、ものによっては自然な風味が邪魔されてしまう可能性があるので、ペアリングの観点からはあまりおすすめしておりません…
希少なピスタチオの原始の表情を、存分に堪能していただけますように。
出典
ピスタチオの効能や栄養がスゴイ!ナッツの女王と呼ばれ愛される理由【ターキッシュエア&トラベル】 (turkish.jp)
ナッツの女王・ピスタチオ なぜ、最近身近になった? – 日本経済新聞 (nikkei.com)
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