大航海時代にあたる16世紀半ば、フランス人探検家のジャック・カルティエがケベックに上陸、17世紀には、フランスによる開拓と植民地化が始まりました。

その後18世紀半ばの英仏戦争を経てイギリス領となり、カナダ全土に英語が広まることとなりました。

しかしケベックに限っては、フランス系カナダ人が大多数であったため、カナダで唯一、現在でもフランス語が公用語として認められています。

国旗にメープルリーフがあしらわれていることからもわかるように、カナダはメープルシロップの世界第一位の生産国です。

メープルシロップの原料となるメープルウォーター（サトウカエデの樹液）のうち、実に90％近くがケベックで採取されています。

採取時は、糖度わずか3％程度のメープルウォーター。

煮詰めていくと、残す水分量次第で、シロップやスプレッド等、あらゆるメープル製品ができあがります。

中でも甘みや香りが最も凝縮されたメープルシュガーは、メープルウォーターの最終形態となります。

夏に始まる重要な気温変動の恩恵をしっかりと受けた樹木からは、ちょうど冬が終わりを告げる雪解けの頃、メープルウォーターが自然に流れ出します。

あくまで自然のサイクルがなければ成り立たないメープルシロップの原風景は、いつも雪景色とともにあります。

フランス文化の影響が現代まで色濃く残るケベックを表現するため、Québécoiseにはフランス産のクルミを使用しています。

クルミはペルシャ原産で、2000年前には栽培が始まったとされています。

まずはユーラシア大陸全域に広まった後、フランス人入植者によってアメリカへも持ち込まれました。

フランスにおけるクルミの名産地、ローヌ・アルプ地方。

降水量が多く水はけの良い土壌と、湿度が高く風が強い気候という類いまれな渓谷地形が、クルミの高い品質に直結するといいます。

実際、味の濃厚さや香りの良さが突出しており、ローストすることにより香ばしさが加わると、一段と魅力が跳ね上がるという、焼き菓子にとって最適な特性を備えています。

しかし、世界全体で見ると、生産量トップ2のアメリカと中国で70％近くのシェアを分け合い、フランスは第4位という位置づけです。

そして日本の輪入状況としては、ほとんどをアメリカ産と中国産が占めており、特にアメリカ産のクルミは、近年輸入量が飛躍的に伸びています。

日本では入手しづらいフランス産のクルミですが、Québécoiseにとっては、少量でしっかりと存在感を放つ、かけがえのない名脇役です。

シンプルに茶葉を楽しむストレートの紅茶やミルクティーを合わせると、メープルの甘い香りがより上品に引き立ちます。

和洋折衷として、香ばしい焙じ茶とも好相性です。

そしてお酒を合わせれば、もう一歩大人な雰囲気で楽しめます。

香りに甘さや樽のウッド感のあるウィスキーがおすすめです。

ワイン同様、産地も香りや味の特徴も様々なウィスキーの中から選ぶなら、カエデの木樽で熟成させた、メープルフレーバーが楽しめるカナディアンウィスキーを試してみてはいかがでしょうか。