2層構造が美しい、伝統的なベトナムコーヒーをイメージしたお菓子。

ザクザク食感の濃いめのコーヒーサブレに、甘くミルキーなアイシングをかけて。

濃い
ドリップコーヒー
＋
練乳

ブラジルに次ぐ世界第2位のコーヒー生産量を誇るベトナムに、一風変わった楽しみ方のコーヒーがあります。

その名も、「ベトナムコーヒー」。

ロブスタ種という苦みの強いコーヒー豆を、カフェ・フィンと呼ばれる金属製の専用フィルターでじっくり時間をかけて濃く抽出し、練乳と共に小さな容器に注ぎます。

比重の違いにより、自然と2色に分かれたビジュアルが特徴です。

これをよくかき混ぜて少しずつ楽しみます。

現地では飲み物というより、ほろ苦くてコクのある、濃厚な甘いお菓子のような位置づけです。

ロブスタコーヒー
との出会い

19世紀後半のフランス植民地時代、ベトナムにコーヒーが持ち込まれ、栽培が始まりました。

コーヒー栽培が試みられたベトナム中部の熱帯雨林気候は、「ロブスタ種」という苦みの強い豆の生育環境として、特に優れていました。

最適な環境に加え、低地でも育ち、病害に強く成長が早いなどの品種的特徴が重なり、ベトナムにおけるロブスタコーヒーの生産量は、数十年の間に飛躍的に増大しました。

20世紀後半は、ベトナム戦争という大きな政治的苦難に見舞われましたが、戦後はコーヒー農園も力強く復興を遂げました。

アメリカ農務省が発表した2022年の統計によると、原産地の中央～西アフリカをはるかにしのぎ、ベトナムのロブスタコーヒーの年間生産量は1800トンが計上され、堂々の世界第1位に君臨しています。

ベトナムコーヒーの
成り立ち

ロブスタ種のコーヒーは、そのままでは個性が強すぎて飲みづらく、通常ブレンドの際のアクセントとして用いられる品種です。

単独でおいしく飲むためには、ミルクと砂糖を加える必要がありました。

気温が高いベトナムでは、牛乳は腐りやすく扱いづらかったため、代わりに比較的安価な上、保存もきく練乳を加えたところ、それは甘さも同時に手に入る画期的なアイデアでした。

こうして、身近なロブスタコーヒーを楽しむ方法として、ベトナムコーヒーが定着していきました。

こだわりの
ファインロブスタを求めて

ベトナムは中部高原地帯の南部に位置する、ラムドン省バオロクの自然豊かなコーヒー農園で丁寧につくられる「ファインロブスタ」。

ファインロブスタとは、専門家による品質評価基準をクリアした、ロブスタ種の中でも特に高品質なコーヒー豆を指します。

先にも述べたように、ロブスタ種のコーヒーはブレンドコーヒーに用いられることが多く、単独の豆として日本の店頭ではあまり見かけないことに加え、ファインロブスタに至っては、市場での流通量が全体のわずか2％しかないといい、さらに希少価値が高くなっています。

Biscuiterie èreは、ベトナム産ファインロブスタを独自に直輸入している希少なコーヒー専門店様にて、焙煎度合いや挽き方を指定して豆をオーダーしています。

注文を受けてからの焙煎により、いつでも煎りたて挽きたてのコーヒー豆の入手が可能となっています。

高品質な豆に輪をかけたそのこだわりこそが、Vietnamienneの味の骨格を担っています。

コーヒーとお茶の関係

ベトナム産のロブスタコーヒーは、他の一般的なコーヒーにみられるような複雑なアロマが乏しい代わりに、強いコクと苦みの中に、麦茶のような香ばしさがあるとしばしば表現されます。

せっかくベトナムコーヒーの世界を堪能するなら、いつも飲んでいるコーヒーは一旦置いて、香ばしい麦茶を合わせてみるのがおすすめです。

フランスに植民地支配される以前、つまりコーヒーが導入される前まで、1000年以上にわたり圧倒的な文化的影響を受けていたのは、他でもない隣接する中国でした。

従って、ベトナムにも日常的にお茶を飲む習慣が定着していました。

特に中国の銘茶産地である雲南省に近いベトナム北部を中心に、様々なベトナムらしいお茶の生産も盛んです。